猫を飼われている方は、「避妊(去勢)手術を受けた方がいいかな?」「病気でもないのに、手術をするのはかわいそう…」などと、避妊や去勢手術について悩まれている方も多いと思います。
実際のところ、将来的な病気のことを考えると、手術はすべきです。
ただ、避妊・去勢手術には、いくつかのデメリットもあります。
この記事では、猫の避妊・去勢手術について、メリットやデメリット、手術時期や費用などについてお伝えしています。
愛猫に手術を受けさせるべきか悩んでいる飼い主さんは、ぜひ読んでみてくださいね。
猫の避妊・去勢手術とは?
まず、避妊手術とは、メス猫の卵巣(と子宮)を切除する手術、去勢手術とは、オス猫の精巣を切除する手術です。
卵巣のみを切除するのか、子宮も一緒に取るのかは、動物病院によって異なり、どちらを選んでも問題ありません。
メス猫の場合には、おなかを切る(通常1~3cm程度)必要がある一方で、オス猫はおなかを切ることはなく、精巣(睾丸;たま)の上を少し(通常1cm程度)切って取り出すようになります。
最近では、腹腔鏡を用いて避妊手術を行っている動物病院も多く、傷口は小さくなる傾向にあります。
※腹腔内や鼠径部に精巣がある『潜在精巣』の場合には、おなかやそけいなどを切ることがあります。
猫の避妊・去勢手術の時期~いつから手術ができる?
猫の避妊手術においては、生後6か月齢~1歳齢程度の早い時期に行うことが多いです。
というのも、初回発情前や1回目の発情のあとに手術をすることで、将来的に乳腺のがんになる可能性が低くなると言われているからです。
2回以上の発情を迎えたあとに手術をした場合には、将来的な生殖器疾患(主に乳がん)の予防にはあまり貢献しません。
去勢手術においては、早い時期に行うと、尿路系にトラブルが生じやすいとも言われているため、しっかりと成長を待ってから行うことも多いです。
また、オス猫の場合には、早期に手術をしたからと言って、将来的な生殖器の病気の予防になるわけではないこともあります。
ただ、以下でもお伝えしますが、早めに手術を行った方が、マーキングが減るというメリットはあります。
そのため、オス猫・メス猫どちらとも、生後6か月齢~1歳齢程度で手術を行うことが多いです。
発情の時期は避けた方がいい
基本的には、6か月齢程度であれば、いずれの時期においても手術は可能です。
ただ、発情中には、手術による出血が起こりやすくなるため(生殖器への血流が豊富なため)、なるべく発情中は避けて手術を行うことがおすすめです。
猫の避妊・去勢手術のメリットとデメリット
猫の避妊・去勢手術においては、推奨している獣医師と、そうではない獣医師がいます。
それぞれに考えがあり、どちらがあっている・間違っているというわけではありません。
なぜ考えが分かれるのかというと、手術にはメリットとデメリットがあるからです。
以下では、それぞれ分けてお伝えしていきます。
いずれにしても、最終的に決定するのは飼い主さんですので、ぜひ以下を参考にしてみてください。
メリット
猫の避妊・去勢手術のメリットはたくさんありますが、以下の4つが代表的なものとなります。
①発情がなくなる
避妊・去勢手術においては、性ホルモンが出る性腺(卵巣、精巣)を切除するため、発情が来なくなります。
発情時は、ストレスを感じやすく、凶暴になったり、いろいろなところに排せつをしたり…と一緒に生活をするうえで、付き合いづらくなる行動がみられます。
また、外猫に興味を示し、交尾ができないことにいら立ちを感じたり、脱走しようと試みる猫もしばしばいます。
②性格が穏やかになる可能性
性ホルモンの支配がなくなるために、特にオス猫では、性格が穏やかになる可能性があります。
もともと、『ボス猫』というのが存在する通り、猫は縄張りを持つ動物であり、争いをします。
性ホルモンが出ないことで、無駄な争いを避け、ゆったり・穏やかになる傾向があります。
もちろん、生まれ持った性格もありますので、手術を受けたからと言って、必ずしも穏やかになるとは限りません。
③将来的な生殖器疾患の予防
上記でもお伝えした通り、早期に避妊手術をした場合には、将来的に乳腺の腫瘍が生じる可能性が低くなります。
また、卵巣(や子宮)、精巣の病気にも当然なりません。
ホルモンに関与する病気のコントロールがしやすくなる可能性もあります。
獣医師が避妊手術をすすめる理由はこれがもっとも大きな理由となっています。
④望まぬ妊娠を避ける
猫は交尾排卵動物と言って、交尾をすると排卵をする動物です。
そのため、妊娠率はほぼ100%となっています。
万が一、未避妊・未去勢の猫が出会ってしまったら、望まぬ妊娠をしてしまう可能性が高いです。
これを予防できるのは、避妊・去勢手術を受けることです。
デメリット
避妊・去勢手術には以下のようなデメリットもあります。
①太ってしまう
生殖に関与するホルモンが出なくなることで、それに関係する行動や代謝がなくなり、結果として太ってしまうことがよくあります。
太らないようにするためには、食事の管理が大切です。
避妊・去勢後用の食事に変更する、ウェットフード(グラム当たりのカロリーが少ない)を取り入れるなどして、食事のコントロールをしていくようにしましょう。
②手術時に麻酔を使用する
当然ですが、手術時には麻酔を使用します。
100%安全な麻酔はありませんので、万が一の事故は生じえます。
ただ、一般的には、避妊・去勢手術のような予防の手術で、亡くなるケースは極めて少ないです。
③病気ではないのにメスを加える
避妊・去勢手術は予防の手術ですので、必ずしもすべき手術ではありません。
そのため、人間のエゴであるという考えもあることが実際です。
猫の避妊・去勢手術の費用
猫の避妊・去勢手術の費用は、動物病院によって全く異なります。
というのも、動物医療は自由診療ですので、料金は動物病院・獣医師ごとに設定が可能だからです。
ただ、多くの動物病院で、去勢手術は3万円前後、避妊手術は5万円前後で行っています。
入院の有無、術式(腹腔鏡を使用する場合には、高いこともある)などで費用は変わりますので、詳しくは動物病院に確認するようにしてくださいね。
【まとめ】猫の避妊・去勢手術のメリット・デメリットや時期、費用について
猫の避妊・去勢手術を推奨する動物病院は多いです。
生殖器の病気の予防ができることや、穏やかな飼いやすい性格となる傾向があるからです。
ただ、最終的な判断は、飼い主さんがするようになります。
愛猫のためのことですので、ぜひ主治医の先生とお話をして、しっかり決めてあげてくださいね!
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