〜ペット不可物件でも諦めない、小さな命との暮らし〜
1. 猫が飼いたい!でも…現実は“ペット不可物件”
実家で猫と暮らしていた私は、動物と一緒にいるのが当たり前の環境で育ちました。猫は気まぐれだけど甘えん坊で、ふとした瞬間にそばにいてくれる。その存在にどれだけ癒されてきたか分かりません。
だからこそ、社会人になって一人暮らしを始めたとき、「いつかまた猫と暮らしたい」と思うのは自然なことでした。でも現実はそんなに甘くなくて、引っ越し先の物件は「ペット不可」。立地や家賃を優先すれば、動物との暮らしは後回しにならざるを得なかったんです。
実は当時、私はほぼ毎週のように実家に帰っていました。ある週、母親に「今週は誰もいないけど、それでも帰ってくるの?」と聞かれたことがあります。
そのとき私は、さらっとこう言いました。
「別にいいんだよ。だって俺、猫に会いに帰ってんだもん。」
母親はちょっと笑ってたけど、そのときの自分の本音がぽろっと出た気がします。猫が恋しくてたまらなかったんです。
でも、現実的にペット不可物件で猫を飼うわけにはいきません。ルールを無視して飼うのは近所トラブルのもとになるし、動物にとってもいい環境とは言えません。だからこそ、一度は夢をあきらめかけていました。
けれど、心のどこかではずっと「何か他の方法があるんじゃないか?」と考えていた。そんな中で出会ったのが、ハムスター、そして――デグーでした。

2. まずはハムスターから。小さな一歩がくれた喜び
ペット不可物件に住んでいる以上、大きな動物は無理。でも、「何か小さな命と暮らしたい」という気持ちはどうしても消せなかった。
そんなとき、ふと思い出したのが子どものころに飼っていたハムスターのことでした。
「そういえば、ハムスターってペット不可物件でも大丈夫なのかな?」
調べてみると、「犬猫はNGだけど、小動物はOK」と明記されている物件も意外と多いことがわかりました。もちろん、すべての物件がそうではないし、最終的には大家さんの判断次第。でも、希望がまったくゼロではないという事実に、ちょっと光が差したような気がしました。
実際に大家さんに軽く相談してみると、
「ハムスター?ああ、それくらいなら…」という返答。
拍子抜けするくらいあっさりOKが出て、すぐにハムスターとの生活が始まりました。
手のひらにちょこんとのる小さな存在。ケージの中で回し車をカラカラ回す姿。
たったそれだけのことなのに、部屋に命の気配があるだけで、毎日の疲れがじんわり癒されていくのを感じました。
「やっぱり、自分は動物と一緒に暮らすのが好きなんだな」と、改めて実感した瞬間でした。
3. 出会ったのは“デグー”。え、こんなに賢くて懐くの?
ハムスターとの暮らしにすっかり癒されていた頃、ある日SNSで見かけた一匹の小動物に目が止まりました。
「デグー」という名前。見た目はちょっと大きめのハムスターのようだけど、目の輝きや仕草に、どこか猫っぽい気品と知性を感じたんです。
調べてみると、「デグーは賢くて、懐く」「名前を呼ぶと反応する」「甘えてくる」――まるで猫みたいな性格の小動物だということがわかりました。
その瞬間、「これだ…!」と、心の中で確信しました。
実際にお迎えしてみると、その可愛さは想像以上。
最初は少し警戒していたけれど、毎日声をかけたり、おやつをあげたりしているうちに、だんだんと心を開いてくれるようになりました。
今では名前を呼ぶとこちらを見てくれるし、ケージの扉を開けると自分からぴょんと寄ってきます。膝の上で毛づくろいを始めることもあって、「え、猫じゃん…」って何度つぶやいたことか(笑)。
鳴き声や仕草を使って気持ちを伝えてくるし、掃除の時間になると静かに待ってくれたり、遊び時間が終わると自分からケージに戻ったり。
そんな姿を見るたびに、「この子、ちゃんと空気を読んでるな」って感じます。
「猫は無理だから…」とあきらめていたけれど、デグーという選択肢があったことは、まさに人生の転機でした。

4. デグーって、ペット不可物件で飼えるの?
「デグーを飼ってみたい」と思い始めたとき、まず気になったのは“物件のルール”でした。
当時私が住んでいたのは「ペット不可物件」――でも、ハムスターに関しては「小動物ならいいか」と勝手に判断して飼ってしまっていたんです。実際、特に問題もなかったし、音やにおいもほとんど出ないので、気にしていませんでした。
ただ、デグーはハムスターより少し大きくて、動きも活発。
これはさすがに一言、大家さんに確認したほうがいいだろう…と連絡してみることにしました。
すると返ってきたのは、想像もしなかった言葉。
「デグー?……ハムスターみたいなの?ならいいよ!」
……なんと、あっさりOK。
このときばかりは、デグーのマイナーさに心から感謝しました(笑)
もちろん、すべての物件がそうとは限りません。
「小動物可」と書いてあっても、その範囲は曖昧なことも多く、判断は大家さんや管理会社によって異なります。
だからこそ、勝手に判断せず、ちゃんと相談することが大切。
伝え方次第で、意外とすんなり許可が出ることもある。隠れて飼ってバレるより、ずっと安心です。

5. デグーとの生活がくれた、未来へのステップ
デグーとの暮らしが始まってから、部屋の中は静かなのに、どこかずっとあたたかい空気が流れていました。
言葉は通じないけれど、確かに“通じ合っている”感覚がありました。
「猫がいない生活なんて無理だ」と思っていたはずの自分が、
デグーとの生活で心の満足度がぐんと満たされていることに気づいたとき、ちょっと驚いたのを覚えています。
デグーを飼ったことで“ペットと暮らす責任感”も自然と身につきました。
掃除、食事、鳴き声のこと――小動物とはいえ、やるべきことはたくさんあります。
でもそれをこなしていく日々が、結果的に「動物と暮らす力」になっていたんです。
そんな日々を重ねるうちに、
「もう少し条件のいい物件に引っ越して、いつか猫を迎えたい」
という気持ちが、夢から目標に変わっていきました。
そして今、私はついに――
猫とデグー、両方と暮らしています。

6. まとめ:ペット不可でも、可能性はゼロじゃない
「ペット不可物件=動物は絶対ダメ」だと思っていた。
でも実際には、「小動物ならOK」というグレーなゾーンが存在する場合もあるし、相談次第では道が開けることもある。
もちろん無理やり飼うのはNGだけど、諦める前に一度相談してみる価値はある。
そして何より――デグーのような小動物には、予想を超える魅力がある。
猫みたいに賢くて、懐いて、愛らしくて。
「猫は無理だから」という消極的な理由で迎えたはずが、いつの間にかその存在が本命になっていた。
もし今、「ペットが飼えない」と悩んでいる人がいたら、伝えたい。
小さな一歩が、未来を変えるきっかけになるかもしれません。
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